夢貸し屋

 今日、横浜の黄金町をチャリンコで徘徊していたら、不思議な喫茶店を見つけました。
「夢貸し屋」と書いて「むかしや」と読む店なんだけど、いわゆる普通の喫茶店と違って客が子供ばかりで、メニューの一品一品が子供用に破格的に安くしてあり、たくさんの昔懐かしい駄菓子が売っていたり、大画面のテレビで映画が観れるようになっていたりと、まさしくそこは子供のための空間でした。ちょっと、ショボイお菓子の家を想像してもらうと一番いいのかもしれません。。
 僕みたいな大人が入ったら途端に場の空気が乱れてしまう、そういう場所なんじゃないかと最初は心配したのですが。子供達は、僕が本を読んでいるのにも拘らず、オナラの音がするオモチャを何度も鳴らし、全く意味不明なことで盛り上がり、僕の存在を無視してくれて、まあ気も使う必要もないいい場所でした
 面白かったのが、そこにいる子供達の年齢層で、ちょっとみた所、五歳から十六歳位までとひどくバラバラで、お互いとても話があいそうには見えないんだけど、その店を一人で切り盛りしているオーナーのお姉さんの人柄のせいか、全く不自然さがなく、仲良くやっていて、それがなにか見ていて心地よかったです。
 まあ、とにかく、そこにいる子供達みんな自由に振舞っていて楽しそうだったんだけど、ある制服を着た高校生位の少年達の話にちょっと耳をそばだててみると、彼らはクラスメイトの携帯電話を盗んで反省文を書かされているといういわゆるダメな奴等で、どうしようもないなと僕は思ったのですが、オーナーのお姉さんは彼らに携帯電話位もっとうまく盗まなきゃダメだよなんていうとんでもないコメントをしていて、完全に意表をつかれてしまいました。
 学校じゃ、大人がこんなコメントすると大問題ですもんね。けど、自分が子供の時、大人からこういうコメントこそして貰いたかった気がします。「夢貸し屋」には、子供が自分で自分のルールを決められると言う自由がありました。
 子供は学校の外で育つなんて言っていたオジサンが確かいたけれど、僕もそれは真実だと思います。僕も授業さぼって名画座で観た古い映画の数々に、貧乏の切なさから、大人の女性の色気まで色々と教えてもらいました。学校で先生に学んだ事なんて今になってみれば何も具体的に思い出せないですもん。授業中に机の上に一生懸命書いたひたすらリアルな先生達の似顔絵とチ○この絵が、唯一僕の学習した事だったのかもしれません。
 問題は色々あるんだろうけど、子供をもっと学校から自由にするべきだと本気で思う今日この頃です。