老人の夢

 どうも。ブログをご無沙汰してだいぶ月日がたってしまいました。実は、祖母が突然脳梗塞で倒れたため、それを見舞いに京都の西舞鶴という町にしばらく帰省していたんです。西舞鶴とは、京都の北にある小さな町で、行くのに京都から電車で二時間近くもかかります。その遠さのせいか近頃は町の寂れ方も甚だしく、商店街の店は平日だというのに軒並み閉まっているし、夜はコンビニの明かり以外は真っ暗。祖母の近くにいる時、暇だったので病院の窓から外の景色を見下ろしたりしていたのですが、空を舞うトンビと道行く人の数がほとんど一緒の時さえありました。普段東京に見慣れていると気付かないけど、やっぱり日本は不況みたいです。


 祖母は祖母で、脳梗塞ということもあって動く事もしゃべる事もできず、着いてしばらく、僕はたた側でジッとしている事しか出来ませんでした。しかも、彼女は癌を患ってもいるので、そう簡単に回復するという事もなさそうなんです。しかし、ずっとじっとしていても仕方ないので、ただ寝ることしか出来ない祖母に何とかして刺激を与えようと、祖母の家から昔の家族アルバムなんかを引っ張り出してそれを見せたり、いろはカルタを買ってそれで一緒に遊んでみようとしてみたり、色々試行錯誤してみました。そういった僕のアクションに対して、祖母は結構反応していたので、やってる事はそう悪くはなかったんだと思います。


 しかし、日に日に衰弱していこうとしている老人に対して、過去の様に生き生きとさせるよう強いる自分が何かひどく残酷な事をしているように思える時もありました。これは僕の妄想かもしれませんが、老人にしか観る事の出来ない夢、という物がきっとあるように思うんです。そうした力があるかもしれない老人を僕が過去に閉じ込める様な事をして果たしていいのでしょうか。疑問です


 まあ、その「老人の夢」なんていうのは、まだ若い僕には知る由もないものなんですけどね。というか、知る必要もないでしょうし。しかも、それを夢なんて呼んでいいのかもとても微妙です。けど、過去になんか捉われない、そんな老人の力強い夢があってもいいじゃないかと思う今日この頃です。